博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて女性アイドルグループを愛するようになったか
ちなみに初期の構想では,私がどのようにして欅坂46という女性アイドルグループに嵌っていったのかを赤裸々に語る記事にするという案もあったのですが,あまりにも需要が無さそうだったのでやめました.そう,いつだって世間は女性アイドル好きのおじさんに厳しい.
おじさんとしてこの世に生を受けてしまった以上,公の場で女性アイドルについて語るためには相応の "覚悟" が必要というわけですね.
2019年の私にはその覚悟が足りなかったようなので,女性アイドルグループの話は2020年の私に任せることにします.
はじめに −覚悟のススメ−
私にとっての欅坂46の始まりと終わり
のっけからネタバレ?なんですが,私が応援していた女性アイドルグループ「欅坂46」は2020年10月をもって惜しまれつつも活動終了しています.
日本には 「推しは推せるうちに推せ」という格言がありますが,さもありなん.去年の私が「2020年末の記事こそは欅坂46のことを書こう」などと悠長なことを言ってるうちに,欅坂46自体がこの世界のどこからもいなくなってしまったのです*17.
こうして私は,欅坂46が活動しているうちに欅坂46の記事を書くという貴重な機会を永遠に喪失してしまいました.悔やんでも悔やみきれない,我が人生における大いなる失点です*18.
しかし,過ぎたことを悔やんでばかりいても得られるものは何もありません*19.欅坂46が活動終了してしまった今だからこそ,あらためて彼女たちとの出会いから別れまでを振り返ってみようと思います.そして,欅坂46のいないこれからの世界,欅坂46 "以後" の世界を我々がどのように生きていくべきなのか考えてみようではありませんか.
こういうのもありなんだ,と私は思った −アンビバレント−
まずは私にとっての欅坂46の "始まり" の話をします.
実は私は欅坂46のファンとしては後発も後発,新参の中の新参,ナチュラルボーンニワカファンです*20.
私が初めて欅坂46のことをはっきりと認識したのは,グループにとって7枚目のシングル「アンビバレント」が発売された頃(2018年8月くらい)でした*21.今となっては具体的に何だったのかも覚えていないような些細なキッカケから,YouTubeで公開されていた「アンビバレント」のミュージックビデオ(以下 MV)を視聴することになったのです.
もちろんみなさんの中には,まだ「アンビバレント」の MV を観たことがないという方もいらっしゃることでしょう*22.この後の話をスムーズに進めるために,そういう方もまずは何も言わずに MV を視聴してみてください.
と言っても,わざわざ自分で検索して YouTube へ辿り着くという手間をかけてくれるような素直な人は(この記事の読者には)少ないでしょうから,親切のために以下にリンクを貼っておきます*23.
(以下,MV を最低 100 回ほどじっくり観たものとして話を進めます)
さて,皆さんは「アンビバレント」の MV を 100 回以上観て,どのような感想を抱いたでしょうか?
私が初めてこの MV を(100回くらい)観たときの感想は「こういうのもありなんだ」でした.「こういうのもありなんだ」,あまり "女性アイドルグループの MV を観たときの感想" っぽくはないですね.
私は「アンビバレント」の MV を観るまで,女性アイドルグループの MV というものを真剣に見たことはありませんでした.そして,ぼんやりとしたイメージとしての "それら" は,もっとアイドル自身を,さらに言えばメンバーそれぞれの "個" をフィーチャーしたものでした.
しかし,実際に初めて(100回くらい)目にした「アンビバレント」の MV は,そういった私のイメージとはまるで異なっていました.
言ってしまえばこの MV は,欅坂46自身を映そうとしているものではなく,欅坂46の個々のメンバーを映そうとしているものでは更になく,欅坂46が表現している「アンビバレント」という楽曲の世界観を映している.
そう,これは本当に「アンビバレント」の MV なのだ,と感じられたのです.
まぁ,「アンビバレント」の MV が「アンビバレント」の MV であることは自明なので,お前は何を言ってるんだという感じなのですが.
そしておじさんはドハマリした −不協和音−
「アンビバレント」のミュージックビデオに衝撃を受けた私は,他の楽曲の MV も視聴するようになりました*24.
デビュー曲「サイレントマジョリティー」から始まり,全シングル表題曲の MV(しかもフルバージョン!)と多くのカップリング曲の MV(こちらはショートバージョンですが)を公式アカウントが公開してくれているので,私を含む全人類はまだ1円も支払っていない状態でも(!?)欅坂46の世界観にどっぷりと浸かることができるのです*25.
こうして日夜楽曲を聴いているという時点ですでに思いっきりハマっていると言えそうなものですが,私が真に,決定的に,ドハマリすることになった最大のターニングポイントは「欅共和国2017」というライブの Blu-ray disc の購入でした.
以下に「欅共和国2017」のダイジェスト映像のリンクを貼っておきます(親切!).
そのセットリストは実に緩急自在.これぞ欅坂46と思わせてくれるメッセージ性の強い楽曲から,まさにアイドルと唸らざるを得ない楽曲まで自在に織り交ぜてきます.
それだけでも十二分に素晴らしい映像作品と言えるのですが,さらに一番の衝撃を味わうためには終盤のアンコールを待つ必要があります.
アンコール1曲目「誰のことを一番 愛してる?」のダンスは,このパフォーマンスを称賛するのに足る語彙力を私は持ち合わせていません…と逃げを打ちたくなるくらいの素晴らしさです.
土生瑞穂さんというグループ内で最も身長の高いメンバーがいるのですが,彼女が3列目の真ん中にいるという配置の妙が出色です.
1列目センターの平手友梨奈さんが姿勢を低くしながらメンバーの配置を左右に "割る" ような演出が何度か出てくるのですが,その際に長身を活かした土生瑞穗さんが背後から自然かつ華麗に出現します.この部分を繰り返し再生するだけでも白米3合はいけるはずです*26.
そしてやはり圧巻だったのはアンコールの2曲目「不協和音」のパフォーマンスです.「気合の入った」という表現では到底足りない鬼気迫るダンスに加えて,ライブならではの,絞り出すような,そして叩きつけるような「僕は嫌だ」という台詞.
この「不協和音」を肴にすれば日本酒1升は余裕でいけると言っても過言ではないでしょう*27.
もしかしたら,(ライブ版ではない)そもそもの「不協和音」の MV を未見の方もいらっしゃるかもしれないので,参考のため,ここで MV へのリンクを貼っておきます(親切!).
はい,100回くらい観ましたか? かっこいいですね? 日本酒ガンガン飲めそうですね?
しかし残念なことに,肝心の「誰のことを一番 愛してる?」とライブ版「不協和音」は(公式には)アップロードされていません.
この記事を読んで上記の2曲に興味が出てきたはずの全人類は,ぜひぜひ「欅共和国 2017」の Blu-ray もしくは DVD を購入して 100回 くらいご覧になってみて下さい.
個人的にはこの2曲だけでも値段の元は取れてしまうと思っています(断言).
私はそれを極致だと思った −黒い羊−
「黒い羊」は2019年2月に発売された,欅坂46の8枚目のシングルです.
そして,そのときは夢にも思いませんでしたが,これが欅坂46にとって最後のシングルになりました*28.
今回も,まずは何も言わずに MV を 100 回ほど観てください.例によってリンクを貼っておきます.
今回の MV では「アンビバレント」のときにも感じた「個々のメンバーを映そうとはしない傾向」がさらに強まります.
正直なところ,かなり真剣に観ないと「どこでどのメンバーが出演しているのか」すらよく分かりません.欅坂46に詳しくない人であれば,出演者のうちのどれがメンバーなのか判断に迷う場面さえもあることでしょう.
そして,歌詞のメッセージ性やストーリー性がいよいよ強くなっている一方で,謎めいた MV の解釈は観る者の一人ひとりに委ねられています.
この文を読んでいる皆さんは,既に最低でも 100 回ほど「黒い羊」の MV を観ているはずですが,100 回観ている間には毎回違う 100 回分の解釈が生まれたのではないかと思います.
私は,これこそが欅坂46の目指していた到達点のひとつだろうと思いました.つまり「黒い羊」こそが,欅坂46にとってのある種のゴールです.
ここに至ることで一度 "完成" してしまったグループが,次の9枚目でどのような世界観を見せてくれるのか,私には全く想像できませんでした.そしてそれ故に,私は9枚目の発売をとても楽しみにしていました.
しかし,その一方で, "次" がなかったことにどこか安心している自分もいるのです.
欅坂46との別れ −世界には愛しかない−
そして櫻坂46へ −角を曲がる−
欅坂46としての活動終了は,彼女たちのグループとしての終わりを決して意味しません.彼女たちは角を曲がり,新たな道へと進むことを決めたからです.
その "新たな道" の話をする前に,ここでは一度,その新たな道の直前の部分,「角を曲がる」ところの紹介をしておきましょう.「角を曲がる」は2020年頭にグループを脱退した平手友梨奈さんの欅坂46としての最後のソロ曲です.
先例に倣って MV へのリンクを貼っておくので,まずは 100 回視聴するといういつものノルマを達成してみて下さい*32.
平手友梨奈さん脱退のニュースを知ったあとで,改めて東京ドーム公演の「角を曲がる」を観ると,個人的には色々と察したくなる部分があるのですが,それをここで言語化するような野暮はしません.是非,自身の目で確かめた上で各々の胸に秘めておいて下さい(?)
いずれにしても平手友梨奈さんはグループを脱退し,その一方でグループは角を曲がり切りました.曲がった後の新しい名前は「櫻坂46」と言います.
おわりに −何故 恋をして来なかったんだろう?−
去る12月9日に,櫻坂46のデビューシングル「Nobody's fault」が発売になりました.
収録曲はどれも本当に素晴らしいのですが*34,ここではひとつ,表題曲ではなく「何故 恋をして来なかったんだろう?」という藤吉夏鈴さんがセンターを務めた曲の話をします.
例によって,以後の話をスムーズに進めるために MV へのリンクを貼っておきます.
グループの一員として活動する際,これまではどちらかと言うとクールなキャラクターを崩すことの少なかった藤吉夏鈴さんが,正統派の "可愛い" に挑戦したこの MV を,各自最低 100 回は視聴したものとして以下の話を進めます.
終盤の歌詞の中にこういうフレーズがあります.
「幸せは 参加すること」
もはや若者でなくなってしまった我々*35は,新しいモノやコトに挑戦するのを躊躇し,ともすれば斜に構えて遠巻きにしてしまいがちです.
この歌は(本当は若者の心情を歌っているという最も重要な点に目をつぶれば)そんな我々に対する応援歌と言えます.
外野として見ているときには分からない幸せがあることに「参加者」になって初めて気づいた.こんなことならもっと早くに「参加者」になっていればよかったわ……そう,私が何を言いたいか,もうお分かりですね?
みなさん*36も女性アイドルグループを応援しましょう(伏線回収).
*1:ここでそんな感じのことを口走っているので,興味のある人は要チェックだ(?)
*2:このブログ,結局年に1回しか更新されなかったな…?
*3:私たち = "女性アイドルグループを心の底から応援するおじさん" という統合思念体
*4:薄々気づいておられるかもしれませんが,この記事を書くにあたり私が想定している読者像は極端にふわふわしているので,みなさんもそのつもりで読み進めて下さい.というか,"みなさん" って一体誰なんだろう
*5:私はまだ10代あるいは20代なのだが…?という各位へ.まだ10代や20代なのにこんなところへ来ているあなたの人生が私は本当に心配です.
*6:私はもう40代以降なのだが…?という各位へ.もう40歳も過ぎているのにこんなところへ来ているあなたの人生が私は本当に心配です.
*7:30代の各位へ.あなたの人生が私は本当に心配です.
*8:とは言え,ライブTシャツや推しメンタオルやサイリウムなどを必須の "装備" だと考えている人もいるかもしれない.はい,諸説あります(某テレビ番組的逃げの姿勢).
*9:物理的なハードルって,それはもうハードルなのでは…?
*10:誇張
*11:誇張
*12:誇張
*13:誇張
*14:「私の側にはない」が「アイドルの側にはあるかもしれない」というのが現代社会における極めて深刻な問題であり,そのため私は心配することをまるで止められていない(?)
*15:え? 「そうは言っても,アイドルはあの手この手を使ってお金を取ろうとする商売じゃないか.お前は十分過ぎるほど搾取されているんじゃないか?」ですって? 何を言っているんですか.それは運営会社のやっていることであって,彼女たち本人がそうしているわけじゃないですよ.彼女たちは自分の夢,そして自分たちの夢を実現するため,ただまっすぐに坂道を駆け上がっているだけなのです(ぐるぐる目).
*16:正直なところを言うと,私は過去から未来まで含めてグループに在籍したメンバー全員に幸せな人生を送って欲しいと強く強く願っているので,実際はずっと心配で心配でたまらないのです.何故ならば社会は人間にとって良くないものだから(?)
*17:でも,まだ欅坂46は確かに存在していると思うんです……そう,私たちの心のなかにね(?)
*18:じゃあ去年の "土地" の記事と順番を入れ替えるべきだったかと言うと,2020年はまさかのコロナ禍で "飲み会" という存在自体もほぼ消滅したので,なかなか難しいところですね.
*19:そして,この記事を読んで得られるものも何もありません.
*20:「ナチュラルボーンのニワカファンって意味分からなくない?」という疑問を抱かれた方もいるかもしれませんが,そんなところでいちいち引っかかっていては,この記事は最後まで読み通せませんよ? まぁ,読み通す必要もないのですが.
*21:欅坂46のシングルCDが全部で8枚だという事実を踏まえると,7枚目からファンになった私がどれだけ後発かおわかりになることでしょう.
*22:私は全人類が視聴済みであることを期待しているのですが,動画の再生回数を見るとどうも世界はそうなってはいないらしい.
*23:この後もちょくちょく MV へのリンクを貼っているので,適宜再生しつつ読み進めることをおすすめします.この記事を読むのに時間を使う意味はまるでありませんが,MV の視聴と並行することで虚無の時間にもきっと意味が生まれることでしょう.
*24:ちなみにこの頃,twitterで「欅坂46の曲を聴き始めた」という旨の発言をしたら即座に「欅って、書けない?」(欅坂46主演のバラエティ番組)の情報を DM で送ってきた悪い友人(他人を沼に引きずり込むのが趣味)がいたので,並行して「欅って、書けない?」の視聴も始めていました.こちらの方は逆にメンバーの "個" がフィーチャーされていて,音楽活動と相補的になっており非常に "良い" んですよね(早口)
*25:とは言え,私の「アンビバレント」購入日を調べたら2018年8月28日だったので,案外,出会いから即オチして購入に至ってますね(?)
*26:試してみたことはない
*27:何故,消費できる食品の量で勝負しようとするのか
*28:2019年中に発売予定だった 9th シングルが発売されることはついぞありませんでした.ただしその後,配信限定シングルとして「誰がその鐘を鳴らすのか?」が2020年8月に発売されました.……ところで,注釈を正しく注釈として使ったのって,もしかしてこれが初めてでは?
*29:私の人生がちゃんと動いているのかという点に関しては議論の余地があります.
*30:ついでに,なんとか今のところ無職だけは免れているものの全てが限界ギリギリな私に「もう少しなんとかしろ」を伝えたいです
*31:ただし作詞は秋元康氏なので,これらは秋元康氏の言葉である
*32:既成事実化って怖くね?
*33:2019年全国ツアー東京ドーム追加公演のこと(Blu-ray / DVD が販売されています)
*34:どれも本当に素晴らしい.櫻坂46として新しいスタートを切ったということが本当に伝わってきます.
*35:ここにきて全ての読者を "非若者" カテゴリへ勝手に巻き込む大胆な振る舞い
*36:ここまで我慢して読んだ "みなさん" は,最早 "誰だか分からないふわふわとした存在" などではなく,私の立派なソウルブラザーと言えましょう