土地の始まりとその発展 ~現代的な視点から~

この記事は じゆうちょう Advent Calendar 2019 の24日目です.
 
さぁ,いよいよクリスマスイブですね.皆さん楽しいクリスマスイブを過ごしていますか?
今日この記事を読んでいるような人が楽しいクリスマスイブを過ごしているとは到底思えませんが….
 
そんな楽しくないクリスマスイブを過ごしているあなたにひとつ耳寄りな情報をお届けします.
なんと本日はマンガクロスにて「僕の心のヤバイやつ」スペシャル1Pマンガが公開されているそうです.
さすが聖夜ですね!
 
というわけで,みなさんもこんな世界の最果てのような記事を読んでいる場合ではありません.
今すぐマンガクロスに行って「僕の心のヤバいやつ」を心ゆくまで堪能しよう!
 
-----
さて,遍く全ての人類はマンガクロスを見に行っており,最早ここには誰もいないことと思いますが,本題に移りたいと思います.
 
今回の記事では,いかにして "土地" という(極めて狭い界隈での)ネットスラングが生まれ,いかにして(極めて狭い界隈に)広がっていったか?という話をします.
当初は「2019年 全土地記録」という記事を書こうと思っていたのですが,具体的な事例を挙げていってしまうと私の活動範囲があまりにも露わになってしまうことに日和って,概論を述べる記事となりました.
 
ちなみに初期の構想では,私がどのようにして欅坂46という女性アイドルグループに嵌っていったのかを赤裸々に語る記事にするという案もあったのですが,あまりにも需要が無さそうだったのでやめました.
そう,いつだって世間は女性アイドル好きのおじさんに厳しい.
おじさんとしてこの世に生を受けてしまった以上,公の場で女性アイドルについて語るためには相応の "覚悟" が必要というわけですね.
2019年の私にはその覚悟が足りなかったようなので,女性アイドルグループの話は2020年の私に任せることにします.
 
というわけで,本記事の構成は以下のような感じです.
意外と長いので人生を無駄にしたいとき,例えば何の予定もないクリスマスイブなどに特にオススメです*1

0. 私,動詞になりました

土地について語るためには,まず「本名する/ほみょる」という概念を説明しておく必要があります.
 
ここで出てくる「本名」は一般名詞の本名ではなく,私の本来の本名でもなく,私のハンドルネームであるところの本名*2です.
つまり,私のハンドルネームが(極めて狭い界隈において)動詞化され,何らかの意味を付与され(もてあそばれ)ているというわけです.
私が一体何をしたと言うのか?
 
簡潔に言うと,たくさん歩きました.
「本名する」の意味は「お酒を飲みすぎて終電を逃したときに歩いて帰ること」です.
経験的には,歩行時間が1時間を超えるあたりから「本名する」と呼ばれるようになります.
 
2016年頃から泥酔しては歩いて帰るという過ちを繰り返し続けた結果,最終的に(極めて狭い界隈において)動詞になってしまいました*3
私が歩いて帰っているときはもちろん,私以外の泥酔した誰かが終電を逃して歩いて帰っていることも一昨年頃には(私の twitter のタイムライン上では)ごく普通に「本名する」と表現されていました*4
 
泥酔して終電を逃したけれどタクシーで帰るお金も勿体ないから1時間以上歩いて家を目指す…こんな大人*5にはなりたくなかった.
母さん…見てるかい…あなたの息子は歩き続けて,遂に動詞になったよ….
 
というわけで「私は(やや)頻繁に泥酔して終電を逃し,歩いて家まで帰っていた」というところまでが前提知識です.
そしてこの後,状況はさらに悪化していきます.
あるとき,私は土地に辿り着いてしまったのです. 

1. 土地の誕生

土地とは何か,それは全ての人が帰るべき約束の場所です.
土地は全ての人を等しく,そして優しく迎え入れてくれます.
 
本名するを超えた先,そこには広大な土地が存在していました.
通常のレベルの本名であれば,誰しも,本名しているうちにだんだんと正気へと帰ってくるものです.
通常を一歩超えたその先の境地,最後の最後まで正気に帰ってこられなかったときに辿り着く最果ての場所,それが土地なのです.
 
私が初めて土地に辿り着いたのはある冬の寒い日こと,その舞台は新宿でした.
その日,私は友人たちと強かにお酒を飲んでいました.
某イングリッシュパブスタイルのチェーン店でロングアイランドアイスティー*6を延々と飲み続けた私(達)は完全に正気を失い,正気を失ったまま解散しました.
そして仲間たちとの解散を最後に私の記憶の糸はプッツリと途切れます.
 
次に意識が微妙に戻ったとき,私はどこか公園のようなところをふわふわと歩き続けていました.
ここはどこだ…?とおぼろげに考えつつも,地図を調べて正しい方向に向かうだけの知能が回復していなかったので,私はふわふわふらふらと歩き続けました.
そのまま1時間ほど歩いた末に私が辿り着いたのは(普通に歩くと徒歩15-20分弱くらいで行ける)新大久保駅でした.
 
新宿駅の近くでみんなで飲んでいたはずなのに何故わたしはひとりで新大久保にいるのだろう?
みんなはどこ…?わたしはだれ…?これからわたしどうなっちゃうの…? ふわふわしていてきもちいい….おトイレいきたい….けっこう歩いたわりには新大久保って新宿のとなりのえきじゃない…?
アルコールで濁った脳に様々な思いが浮かんでは消えます.
 
ふと携帯を見ると,理性を保ったまま帰った(稀有な)友人から生存確認の連絡がきていました.
しかし,そのときの私の脳はトロトロのプリンのようにふわふわしていたので,完全に噛み合っていない会話の記録だけがあとに残されました.
この会話は後に「初手宇宙」として我々の(酔いが覚めたあとの)記憶に深く刻み込まれたとされています(Fig. 1).
 
Fig.1: 初手宇宙(画像は某友人氏より拝借.輝いてる人が私です)*7
 
初手で宇宙に辿り着いたあとも私の旅路は続きます.
何故か輝いている世界の中をふわふわと歩き続ける私.
そのうちに私の胸の中から何か(吐瀉物ではないもの)がこみ上げてきました.
吐瀉物でない何かを,私はぽろぽろとタイムラインに投下し始めます(Fig.2).
それはポエムのような形をしていました.
 
Fig.2: 謎のポエム.人生,屋根,生まれて生きているということ,壁……壁?
 
このときの私の身に何が起こっていたのかは,今となっては定かではありません.
ただひとつ私に言えるのは,冬の東京で生きるのに屋根と壁は極めて重要であるということだけです.
ここまで諦めずに読んでくれた我慢強いみなさんも,今日はこの言葉を胸に刻み込んで帰ってください.
さぁ,リピートアフターミー.
冬の東京で生きるのに,屋根と壁は極めて重要です.
 
そして,胸の中から溢れる想いを吐き出しながらも続いていた私の旅路は唐突に終わりを告げます.
次の発言を最後にその日の私の消息は完全に途絶えたのです(Fig.3).
 
Fig.3: そして連絡は途絶えた
 
こうして "土地" が生まれました.

2. 広がっていく土地 

「本名する」が,界隈の(終電を逃しがちな)大人たちに広まって行ったのと同じように「土地」という概念も界隈の(終電を逃しがちな)人々に静かに広まっていきました.
誰かが「今夜は帰れないかもしれない…」という雰囲気を醸し出すや否や「土地行くの?」「○○さんが土地へ行こうとしている」という煽り合いが始まります.
世はまさに戦国時代.
このタイムラインにいるのは隙あらば他人を土地に送り込もうとする修羅ばかりです.
 
このように,最初は私の中だけにあった「土地」は徐々に拡大していき,いつしか皆の心の中にしっかりと根付きました. 
そしてそのまま土地はさらに広がっていき,ついには地権者という概念が生まれます(Fig.4). 
こうして,この世に所有権と経済活動が生まれました.
 

Fig.4: 地権者の誕生*8

f:id:syu_ya:20191223013534p:plain

 

また,土地の広がりは日本という枠組みにさえ囚われず,大地を隔てているはずの海にすら遮られることなく,その裾野は海外(沖縄)までも広がっていきました.

以下に示すのは,海外野宿業界の第一人者である高名な方から「土地」へのお墨付きを頂いた場面を記録した,記念すべきスクリーンショットです.

 

Fig.5: 海外野宿の第一人者(参考文献)に認められた輝かしい業績

f:id:syu_ya:20191223012052p:plain

 

こうして,ついに世界はひとつになりました.

3. あなたも土地を訪れよう

ここまでこの記事を読んだ異常に辛抱強いあなたも,だんだん土地に行ってみたくなってきたのではないでしょうか?
かつての日本では「住めば都」と言われたものですが,これから先は「酔えば土地」の時代です.
地球に住んでる以上,どこでもホテルです.
そして地球は丸いから,歩いていればいつかは帰れるのです.
飲みましょう,歩きましょう,辿り着きましょう.そこに答えは眠っています.
 
土地を訪れるために必要なものは,そう多くはありません.
具体的にはアルコールに負ける弱い意志と現金だけです.
さぁ,あなたも諭吉を1枚(数枚以上でも良い)握りしめて,広い土地へと飛び出そう!
素敵な未来がきっと待ってる!

4. 土地から帰ってくるためには 

しかし幸せな時間はいつまでもは続きません.
あなたがどんな土地へ辿り着いたとして,それでも最後には,あなたはあなたの日常へと帰ってこなくてはならないのです.
それが真っ当な物語というものなのです.
では,あなたが土地から帰ってくるために必要なことは何でしょうか?
 
私の中に蓄積された圧倒的な経験値はこのように語っています.
 
「何よりも暖かい季節を選びましょう,それが無理だとしてもせめて暖かい地域を選びましょう」
 
そう,間違っても厳冬の雪国で土地を目指してはなりません.
土地が誕生したのは寒さの厳しい冬でしたが,場所が新宿(から流れ着いた近隣のどこか) だったことで,私は辛うじて帰ってくることができました.
もしもあの時の新宿が新宿じゃなくて稚内だったとしたら,きっとこの記事が執筆されることは無かったでしょう.
 
しかし今はまさに忘年会シーズン.
皆さんもついつい土地を目指して夜毎に歩いてしまうこととは思います.
それでもここは心を鬼にして飲酒はほどほどに,春の訪土地を目標に力を蓄えることに専念しましょう.
そして冬が去り,つくしが伸びてくる季節になったらまた土地でお会いしましょう.
 
最後になりますが,この記事を執筆するにあたって twitter における過去の自分の言動を掘り返すことで,自分の人生が本当に不安になってきました.
もう30代も半ばなのですが,果たして私の人生はこのままで良いのでしょうか?
そもそも,本当に私は土地から帰ってこられているのでしょうか?
もしかして自分が正常だと錯覚しているだけで,私はあのときからずっと土地の中にいるのでは…?
そして,この記事を読んでいるということは,実はあなたも既に土地の住人なのでは…?
 
分からない…何も分からないけどそれでは皆さん,よいクリスマスを!
そして少し早いですが,よいお土地を!(Fig.6)
さようなら,さようなら!
私は次の土地を目指して旅立ちます.さようなら,さようなら!
 
Fig.6: よいお土地を! 
f:id:syu_ya:20191223013621p:plain

Appendix A.:代官山オシャレリバース 

土地が生まれたその日,一緒に飲んでいた友達*9は,代官山で途中下車して複数回のリバースを経た後に家に帰り着きました.
この事件は界隈では「代官山オシャレリバース」と呼ばれています(Fig.A1).
帰宅開始からリバースまでのスピード感が素晴らしいですね.
 
みなさんも帰り道にどうしてもリバースしたくなったら代官山(のトイレ)でキレイにオシャレにリバースしてくださいね.
絶対に掃除の人に迷惑かけちゃダメだぞ.先生との約束だ!
 
Fig.A1: 代官山オシャレリバース (プライバシー保護の観点から画像処理を行っています.Twitter TL のスクショなので下から順に読んでください)
 
 

*1:全くの余談なんですけど,最近では身の回りの知人達はクリスマスと言えば "家族" と過ごす人が大半になってきていて,ボッチがどうだの恋人がどうだの言ってる人って最早少数派も少数派の絶滅危惧種になってしまいましたね.これが大人になるということなのでしょうか…人生って怖い.みんなが子育てや持ち家や投資の話をしている間にも私は女性アイドルグループやラブコメ漫画や退学の話しかできないのですが…

*2:このハンドルネームはややこしい上に検索性が悪いように見えますが,twitter 社によると,これで友達が私を見つけやすくなるようです.不思議ですね(何を言っているのか意味が分からない人は私の bio欄 を見てください).

*3:ついでに頻繁に飲み会に行ってた割には痩せました.たくさん歩いていたので

*4:泥酔して終電を逃して歩いて帰る人が次々に現れる私の twitter タイムラインは一体どうなっているのか? 世紀末なのか?

*5:より正確には「大人達のうちの一人」ですね.この記事のメイン読者と想定されるタイムラインの皆さんの中には似たような(歩くのが大好きな)大人が沢山いる…私は詳しいんだ

*6:弊タイムラインでは長島紅茶や長嶋紅茶と呼ばれているカクテル.紅茶は入っていないが紅茶のような味がする…と言われている(私は紅茶の味ではなくロングアイランドアイスティーの味がすると思っている).とりあえずアルコール度数が結構高いので脳がふわふわしやすい.

*7:2個目の私の発言の前後に入っている改行がまた味わい深い

*8:余談ですが,ながなおさんの twilog を「土地」で検索すると土地の話が沢山出てくる

*9:初手宇宙の友達とは別の人